2、3回の呼び出し音の後…低い厳つい声で「はい!」と聞こえてきて私は緊張しながら名乗った。
「…あの…。
生駒と申しますが…!」
血管の血潮が吹き上げそうな程ガチガチに硬直したまま声をしぼりだした。
「生駒か…!
さっきは…自宅に電話してしまって申し訳なかったな…。」
怒鳴られる事を想定していただけに…柔らかい物腰な言い方に拍子抜けして「はあ…。」と吐息と一緒に返事した。
「実は…今日いっていた京都の取材の件なんだが…ちょっと大変な事があったようなんだ…!
それで…今から行ける連中に声をかけたんだが…。」
「えっ…。
今日言ってた件って週末の件ですか?」
普段の権田教授では…想像つかない興奮気味な声が受話器の向こう側から聞こえてきた。
「プップッー!?」
クラクションに気付き…運転席の弟が手を降ったのを確認して私は車に乗り込む。
「あっ…。
これから…そちらにに向かうので…!
どちらに行けば…よいですか?」
突然の申し出に私は権田教授に尋ねた。
「じゃあ…大学の正面玄関のとこに例のサークルの学生が荷物をトラックに運んでるからそこで合流しよう…。」
その返答に私は…嫌な予感を感じる。
「あの…もしかして…今から同行という事ですよね…。
それって…。」

