“吉乃…。”
夢の内容を思い出すたびに私は胸の奥にある何かがキュンと音をたてた…。
夢の中の人物にときめくなんて…よっぽど飢えてるのかと思うのだが…その声を探しているようにも思えた…。
現に…飲み会で楽しく談笑していても…どこか物足りない。
何が物足りないかまではわからないにしても…やはり目で誰かを探している自分にふと気付く…。
早く彼氏作ろう…!
そう思うものの…別に理想を高く持っている訳でもないのに上手くいかない…。
付き合おうって思う人と付き合ったとしても…「私、この人の事好きなんだ」…とか「彼女なんだから…!」とか自分に暗示をかけて尽くすけど結局破局の果てに振られるといったパターンの恋愛を繰り返してきた。
「楽しんでる?」
愛から突然お酒の入ったグラスを渡されて私は頷く。
「うん…。それなりにね…。」
まさか…。
夢の相手を思い出してときめいてたなんて口が裂けても言える訳ないので愛想笑いでごまかした。
「今日も…ボンヤリ気味だね…。」
愛は私の様子に気付き笑った。

