懐かしそうに淋しげに目を細めて笑った。
「なんだか…。
昔の事なのに切ないよね。
あっ…。
でも…吉乃に変わってお礼を言わなきゃ弟として今世も仕えてくれてありがとう。」
しんみりとした空気を吹き飛ばすようにおちゃらけながら言った。
「やっぱり…。
姉ちゃん!
吉乃様かもね…!」
「えっ…?」
諷馬は驚いた表情に…ニヤリと笑った。
「例えば…。
どんなとこが…?」
自分でも知りたくて仕方なかった言葉が口から吐いてでた。
ETC対応のゲートをくぐり抜け前行く権田教授達の後を追いながら本能寺までの道のりをナビで確認しながら諷馬は答えた。
「吉乃様も明るく穏やかで…あったかい人だったよ。
あっ!
でも恋に関しては…殿とはライバルだったけど…殿の事嫌いじゃないからそこは誤解しないでね!
まあ…殿には全く相手にされてはいなかったけどね。」
「そうなんだ。
吉乃に告った事あるの?」
殿の事を嫌いじゃないと言ってくれた諷馬の言葉に…胸につかえていた何かがとれて満遍な笑みを返した様子に諷馬は呆れ顔で口を尖らせた。