「つかありえねえ。生徒会云々の前に、俺のことまったく知らねえの?」


羨ましいほどに高い身長と整った顔立ち。

一度でも面識があれば嫌でも覚えられるであろう、めったにいないような容姿の男だった。


「……私とお前は顔を合わせたり話したことはあるのか?」

「いや。ないけど……」

「そうか。すまない。私はお前を知らない」


私がそう言うと、男はぽかんと口を開けた。


「俺を……知らない……?」


なぜかショックを受けたようにか細い声で呟いた。

何か悪いことをしてしまったのだろうか……。