すると綾斗くんはたたたっとあたしに近寄ってきて、
「あの、先輩、甘党なんですよね?」
「ん?うん。」
「……ケーキとか好きですか?」
コソッと耳打ちしてきた綾斗くん。
千尋に悪いから、あんまり雑談とか聞かせられないと思ってるんだろうな。
そしてあたしは、
「うん好き。超好き!」
と、少しテンション上がり気味に言う。
だけど一応、小声で言ったつもりだ。
「あの…、よかったら今度、
一緒にケーキ食べに行きませんか?」
「えっ…」
予想外の言葉に、一瞬驚く。
だけど、そんなあたしを見て綾斗くんが、
「最近、俺ん家の近所にケーキ屋が出来て!
無料券持ってるんです!
それで、一緒にどうかなって」
と言った。



