どうやら声をあげたのは柊のツレの方らしく、
柊がビビってないことに、少し、面白くねぇなと思った。
「えッ…マジで誰ですか??」
「九条真紘って言ったら、わかる?」
1階から、びくびくしながら聞いてきた男にそう返すと、
また「ひっ…」と声を漏らし、「やべーよ綾斗…!」と柊に話してるみたいだ。
だけど柊は、何も気にしていない様子で俺に反抗する。
「先輩、イライラしてるのは図星だからですか?」
声だけで会話をしているから、
顔は見えない。
……はずなのに、
コイツからは、“余裕”がうかがえた。
声だけなはずなのに、
勝ち誇ったような口振りだった。
それが、また俺をイライラさせる。



