「俺は、『後輩くん』じゃなくて、
『柊綾斗(ヒイラギ アヤト)』です!…萌先輩!」
さっきまでは“来栖先輩”だったのに、
急に“萌先輩”って言われて、
あたしは、ドキッとした。
「あ…、うん。覚えた。
綾斗くん……で、いい?」
「はいっ!」
ニコッと笑った綾斗くんは、
普段はかっこいい印象だけど、
何故だか少し可愛く見えて。
千尋や真紘とはまた違う、
守ってあげたくなるような…、
そんな気持ちをおぼえた。
「じゃあ、行くね。
またね、綾斗くん。」
「はい、萌先輩!」
そしてあたしは教室に戻った。