「………萌…?」 リビングのドアをゆっくりと開け、あまり音を立てないように慎重にドアを締める。 あまりの部屋の静けさに、萌の寝息がハッキリと聞こえてきた。 萌の寝ているソファに近付く。 その無防備な寝顔を見て、愛しさが込み上げてくる。 触れたい、抱きしめたい、キスしたい…。 そんな欲が溢れてくるのに、 「…真紘…の……嘘…つ…き……」 「!」 眠ったまま涙を流し、そう言った萌に、 俺がそんなことをする権利なんてないと、言われてるみたいだった。