萌の家の前まで来ると、 「遅い」 千尋が、塀にもたれて立っていた。 「萌……は…?」 「リビングで寝てる。」 「そっ…か……」 ―――間に合わなかった。 「萌、1人で飾り付けとかやってたんだよ。 今回の準備は…全部1人で。」 「…………」 ――――最低だ。 「………っ…」 「一応、会いに行けば?」 「…………あぁ…」 千尋はやっぱりまだ不機嫌そうだったけど、 俺の背中を押してくれた。