好きな人の、好きな人。


少し赤くなった頬の雄大。

そんな雄大はゆっくりと乃愛の手を握った。


それを乃愛は拒否しなくて、驚きながら雄大を見ている。


やっぱり可愛い笑顔に、少し染まった頬。


それだけでわかる。


あの二人は、もしかしたら上手くいくかもしれない。


私のこんな心残りさえなければ、笑顔でそんな二人を祝福できるかもしれないのに。



・・・・・・いつまで引きずってるんだろう、私。



でもそんな気持ちは止まらなくて。


少しずつと、涙が目にたまっていく。



こんなところで、泣きたくない、って思いがあっても、それを止めるのは無理だ。



一度溢れ出した感情は、止まらないから。



私の視線の中には雄大と乃愛。


そこに大地はいなくて。

大地が口を少し開いたのに気付かなかった。