好きな人の、好きな人。


そんなわけないじゃん。

・・・助けてもらっただけだし。

私が否定しようと口を開けると・・・


「仲良いよ。俺、絵美の命の恩人」


口を右手で抑えられ、腕を左手でつかまれる。

だから自然と私の体は大地の方へ傾く。


口で抑えられてるから、しゃべれないけど・・・。


何命の恩人って。


そんな大袈裟なこと、大地してないよね?


「絵美ちゃんいいなー!こんな素敵な人に助けてもらったなんて」


なにが!?

素敵な人って何!?


「ごめんだけど、俺らこれから文化祭まわるの。だからそろそろ行くわ」


「はーい!絵美ちゃん、大地くん。楽しんできてね」


「もちろん」


そう答えたのは、大地で。

私はまだ喋れない。