好きな人の、好きな人。


「馬鹿じゃ、ないしっ・・・」


ありえない!

ていうか、会って間もないのに・・・失礼じゃないの?


「俺、佐藤大地。辛くなったら相談とかのってやっから、いつでも言って」


そう言い残し、くるっと私に背中を向けながら去っていこうとする。

ちょっ・・・私まだお礼言ってないんだけど!


慌てて私は声を出した。


「大地ーっ!」


あっちも私のこと呼び捨てだから、君づけする気にならない。


私は周りの声に負けないようにと声を出した。


・・・けどあっけなく私の声はかき消されていく。




・・・ほんのわずかでも、聞こえてたらいーんだけど。




「ありがとうっ!」



聞こえてるかもわからないのに、なぜかそう言ってしまった。


嬉しかった。

私を理解してくれる人がいて。


相談のってやる、なんて最高の言葉もらえて。


たったそれだけって思うかもしれないけど、私にとってはとっても嬉しいこと。