好きな人の、好きな人。



それから私は雄大に送ってもらうことになった。


付き合っていた頃もあってか、雄大に送ってもらうのは久しぶり。


雄大も私の家わかるしね。

その間は、付き合っている間と変わりもなくくだらない話をした。


・・・ていうか、なんで付き合ってるときと比べてしまうんだろう。



寂しいのか?私。


家の前でしゃがみこむ。

もう外は外灯がついていて、あたりは暗い。


雄大が消えた曲がり角をジッと見つめる。



「・・・乃愛、」


だからなのかな。

雄大の好きな人が?


だから誰にも相談なんてできないじゃん。


辛くても、乃愛だから仕方ない、って。

抑えないといけない。溜め込まないといけない。


いつか溢れてしまわないように。


「それが、余計に辛いんだって・・・」



私は小さく呟く。

すぐに消えていくような、聞こえないような小さな声だけど。


それは私の頭の中に、ものすごく響いた。