好きな人の、好きな人。


鞄を肩にさげながら、私は教室の入り口に向かう途中で、振り向いていった。


「あれっ?雄大帰んないの?」


「あーそろそろ帰るわ」


「あ、そう?じゃ私は先に帰るね。じゃあまたねっ!」


そういい残し、教室を出るとき・・・

急に腕を掴まれた。


反射的に、身体が後ろに向く。


「・・・えっ?」


「ちょっと待てって。暗ぇし、危ないから家まで送る」


え、なにそれ。
こっちがちょっと待ってだよ。

・・・だって、意味分かんないし。


何が危ないわけ?


「えっと・・・何が危ないの?」


「絵美だって女だろ、暗い道とか一人で歩かせられるか」


雄大が顔を赤くしながらそう言い放つ。

・・・あ、もしかして。


「照れてる?」


「照れてない!」


「照れてるんだ!」


完全的に、そうだよね。

にしても珍しい。


「違うって。もう送らねーぞ」


「ごめんって!でもありがとね。嬉しいよ」