好きな人の、好きな人。


「あれ、今日は行かないんだ?」

と、まじまじと私の顔を見てくる乃愛。


雄大とは、私の元カレの名前。

有川雄大。
でも別れたのはほんの最近で、乃愛にはまだ別れたことを言ってない。


私は無理に笑って


「うん、今日は・・・ちょっと、ね」


誤魔化した。


すると、乃愛は私の顔を少し屈んで、覗き見るてきた。


「でも・・・いつもと、絵美なんか違くない?」


って私を疑う。

乃愛は顔を傾けて、可愛らしく言う。


「え・・・」


そんな言葉に私は慌ててしまった。


「うん。やっぱりいつもと違うよ、絵美。なんかあった?なら、私聞くよ。」


なんて、微笑んでくれている乃愛を見て乃愛には言ってもいいんじゃないか、って思った。


だけどあのことはしばらく、思い出したくもないんだ。


・・・だけど、親友は別だよね?


なんてことが私の頭の中をぐるぐる巡った。



だけどやっぱり、乃愛を見ていると、隠し事はできなくなる。

そんな乃愛の優しさに、私は甘えてしまうんだ。



私はさっきから歩くスピードは落ちたものの、ゆっくりと歩いていた足を止めた。


そして、大きく息を吸い深呼吸。



私は口を開けた。



「――――――――私、雄大とは別れたんだ」