好きな人の、好きな人。


「いきなり、ごめんね。
・・・ちょっとお願いがあって・・・」


「うん、いいよ。聞くよ」



「ありがとう。文化祭のね、ほらあたしたちクラスはカフェに決まったでしょ?・・・だから、看板を書いてくれないかと思って」



「いいけど・・・なんで私?」



「本当は、あたしが頼まれたの。だけど・・・あたし字が駄目でさ。字が綺麗な絵美ちゃんが書いてくれないかなって思って」



と、顔の前で手を合わせてお願いしてくる瑠依ちゃん。



・・・そ、そんなに必死にお願いしなくても大抵は断らないんだけどな?

まあ瑠依ちゃんの良いとこでもあるか。


そう納得しながら、瑠依ちゃんの話に耳を傾けた。


「いいよ!私でいいなら」


「ありがとう!絵美ちゃんがいいの。普通に文字書いちゃってちょうだいね。他は絵美ちゃん好みに任せるよ」


「了解」


「じゃあ、あとは頼んだよ?ごめんね、わざわざ。お願いします」


最後まで、礼儀正しいなぁ。瑠依ちゃん。


なんて思いながら、忙しそうにその場を去る、瑠依ちゃんの後ろ姿を見送った。