好きな人の、好きな人。



さっきの感情に、胸が温かくなるのを覚えた。

そして靴を履き替えて、私達は同じ教室へと向かう。


好きな人のこと、聞こうかな。

だって私・・・雄大の口から聞かないと、まだ諦められそうにないんだよ。


だったらいっそ・・・早く失恋すればいいのに、私。


「ねえ雄大」


私は思いきって、口を開いた。


「ん?」


雄大は笑顔で首を傾け、私に言う。

私は大きく息を吸い込んだ。


「っ――、あのさっ昨日の課題やった?」



・・・やっぱ、無理。

いえない。


強がったことを思っていながらも、振られるのは・・・失恋するのは、やっぱり怖いんだ。