好きな人の、好きな人。


そんな緊張感が、私の鼓動を早くさせる。

握り締めている手が汗ばんでいく。


・・・・・・できるだけ、雄大とは話さないようにしよう。


そう心に誓いながら。

理由は、簡単。
・・・この気持ちがあふれ出しそうで、怖いから。


きっと、嫌われてしまう。

そんなの嫌だ。



教室の中はやっぱり休憩時間ということもあってか、賑やかだ。


「あっ、絵美~!」


一番に私の存在に気付いたのは、やっぱり乃愛。

そんな乃愛は笑顔でこっちへ向かってくる。


「も~!五時限目いなかったら、心配したよ!」


って、言ってくれる乃愛。

そんな乃愛に私は・・・


「ごめんごめん。ちょっと具合悪くなったから、保健室で休んでたんだ」


なんて、嘘つくしかできないんだ。

・・・・・・まあ、乃愛には言えないんだけどね。


「そっかぁ。それなら、良かった」



どうしてだろう。

こんな可愛い乃愛のことだから、しょうがないって。


・・・いつもなら、そう思えるのに。


なんで乃愛なの?


そんな最低なことしか考えられない。

・・・自己中なのかな、私。