好きな人の、好きな人。



だけど、過去は戻せなくて。

今もそんな二人見たくなくて。


・・・そこに、いたくなくて。


「私・・・ちょっとトイレ行ってくるね」


逃げた。


「えっ!?・・・ちょっ、絵美っ・・・!」


慌てて私を呼んでいる、乃愛も無視して。

教室を出ると、私は廊下を走った。


もうここにはいたくない。

あの二人は、今は見れない。


好きな人の幸せを応援してあげられない私は、最低だと思うけど。

・・・無理、だよ今は。

まず・・・頭の中を整理したい。


行き先も決めないで、思うがままに走る。

何も考えたくない、そんな思いで。


――――――タンッ、タン、タンッ、

階段を駆け上がると・・・その先は、屋上。


誰かいるかも、そんな気をする暇はなかった。


―――――ガチャッ、

私は勢いよく屋上のドアを開けた。