好きな人の、好きな人。


「えっ、まじ?」

「うん」

驚いたように言う乃愛に、私は頷くしかなかった。

やっぱり・・・辛い、かな。


早く消したいな、この気持ち。

意味無いじゃん。振られたんだから。


だけど・・・振られたけど・・・、それが余計に気になるんだ。


「前園」


私の好きな、優しい声が後ろから聞こえた。

声だけでわかる。


でも・・・なんで

「え。雄大くん?」

雄大が乃愛を呼ぶの?


疑問もあるけど、そんな二人を見てるしかできなかった。


「あのさ、数学のノート見せてくれない?」

「えっ?ああ、いいよ。ちょっと待って」


そんなことを言う雄大に、乃愛はなにやら机の中を探っている。

私は二人が気になりつつも、弁当につまっているハンバーグを食べた。