好きな人の、好きな人。



「絵美っ!」

気がつくと、そんな乃愛の声が聞こえた。

・・・雄大とのことを思い出してしまっていたようだ。


「もう、どうしたの。ボーっとして」

「んーん。何でも」


私は笑顔を乃愛に向けてみせた。


「ほら次移動でしょ。そろそろ行かないと間に合わないよ」

なんて、ノートやペンポーチを抱えて私に言う乃愛。


私は机の中からノートを探り出し、私はペンポーチを乱暴に掴み、立った。


「ごめんごめん。行こっか」


って微笑むと、乃愛も微笑み返してくれた。

そして私と乃愛は教室を出て歩き出す。


―――――それからの授業も、集中することなんて出来なかった。