雲一つない青い青い空を見上げていた。あれから一年が経ったかと思うと、あっけない時の流れに無力感さえ感じる。僕は「あの日」のあの子よりもひとつだけ年上になった。そしてこれからも年上になっていく。最後に見たあの子の笑顔を、僕はもう思い出せない。ずっと憶えているつもりだったのに、日を重ねるにつれて記憶の中のあの子の輪郭が徐々にぼやけていった。代わりに浮かんでくるのは透き通るようなあの子の笑い声と、あの日見てしまった「あの子ではない誰か」の腕。青白くて、ぶよぶよとした、水死体。すいしたい。腐敗。膨張。貯水槽。ちょすいそう。すいしたい。水死体。土左衛門。某猫型ロボット。どら焼き。和菓子。