(りさSIDE)
「…さむ」
下校時間になった今、私は保健室から出て、家に帰ろうとしていた。
ざわざわと騒がしい校門までの道のり。部活動に向かう人もいれば、私と同様、帰ろうとしている人もいる。
私は、足を速めた。
一緒に帰る人もいなければ、待ち合わせしている人がいるわけでもない。
こんなところで、ゆっくりしてる意味などないのだ。
「あ…りさちゃん」
そんな私を止めるかのように、私の名前を読んだのは、紛れもなく彼だった。
そう。彼だ。高校生になった今でも、焦がれ続けた彼、だ。
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