「…んなもん、どうでもいいだろ?」



「どうでも、いいわけないじゃん!

よっぽどのきっかけがあったんでしょ!?」




自分の恋の話は、俺に一切しないくせに、人の話だけ、ちゃっかり聞きたがる、昔からこういうところだけは、変わらない。



…めんどくせぇ。いちいち、話さなきゃなんねぇ理由が、どこにあんだよ。



理由なんて、俺だけ知ってればいいもんだろうよ。




「ほら!屋上行くよ!

元樹が本気になった理由、聞けるまで逃がさないから!」



ぐいっと、突然引かれた腕。もう遥斗に、引かれるがままに、足を走らせた。



屋上に向かって全速力で、階段をかけ上がる。その先には、鉄で作られた重いドア。



遥斗は、ドアを開いて、俺を屋上に引きずりこんだ。外は冷たい風が吹く。




「さあ、早く!

なーんで、りさちゃんなのかなー?」




遥斗のオレンジ色の髪の毛が、風になびく。



…なんで、俺が遥斗に話さなきゃなんねぇんだ。




「…俺、りさちゃんと同じ中学だから、アドレスくらい知ってんだけどなー

言ってくれたら、教えてあげないこともないけど?」



「…は?まじかよ、お前」




やってやったぜ、みたいな得意気な遥斗の微笑み。



…りさのアドレスためなら、いくらでも話してやろうじゃねぇか。




「仕方ねぇな!遥斗!」



「そうこなきゃな!元樹ぃぃいい!」




そうして、俺は話し出した。 りさに、本気になったわけを。