そのうち、どんどんみんなと仲良くなった


総長も優しかった


でも、たまり場の空気は


いつまでも私には慣れてはくれなかった


締め切った窓


煙草の匂い


ビールの空き缶


煙草の灰



こんなに変なのが目の前にあれば


気づくはずなのに


悪いところだって


やがて、家に帰ると雄太とけんかする毎日だった


『愛希っっ!!いつまであんなところにいるんだよ』

『うっせぇーな、あんたに関係ないだろ!!』

『関係なくない』

『私の人生は自分で決めるっっ!』


やがて、私は家に帰らなくなった


泊まるところといえば


私を彼女と言った


総長の家


総長は私に変なことは何もしなかった


でも、そんな優しい日々はあまり続かなかった


大きな喧嘩をするとき、みんなピリピリして


仲間同士で喧嘩なんてしょっちゅう


私はそんな喧嘩を見て嫌な気しかしなかった


だから、総長に


『私、自由になる』


そう言って、このたまり場を出ようとしたら


いきなり後ろから殴られた


危ないと思って


体制を立ちなおそうとしたら


その前に蹴られた


私は床に倒れた



「なにすんだよ」

「愛希、簡単にここを抜けられると思ったか?」


いつもの総長じゃない・・・?

誰?


私の目の前で冷たい目で笑ってるこの人は


いったい誰なの?


怖い。怖い。


この時初めて喧嘩を怖いと思った


そのあと、いろんな人に


殴られたり、蹴られたりを繰り返した


途中で私は意識を飛ばした