車に乗り込む。 「じゅりこ。制服姿じゃん。家にすら帰ってないのかよ?」 「…うん」 「佐伯は何やってるんだよ」 優助が軽く運転席の窓ガラスを叩いた。 「優助。ごめんね。車まで出させて」 「いいよ。そんなことより、佐伯から電話1つないのか?」 「ないよ。あたし嫌われたかもしれないし」 涙がこぼれないように、ぐっと唇を強く噛んだ。 「今から、家に帰ろう。オレが説明する」 「…待って。でも、あたしが優助と一緒にいたってなると、また怒らせることになるよ」