えがお。




 


 ―幸せの意味―


 どうして幸せと不幸って感じは似てるのに意味はまったく逆なんだろうね。
 人は人生平等だって言うよね?でもそれは違うと思う。人生不平等。人間はみんな
 弱い人間なんだよ、強い人間なんていないんだ。だけど、そこで逃げて逃げて…。
 辛くても生きようって思える人は強いんだと思う。だけど、そこで死を選んで
 逃げてしまう人は本当に弱い人間の中の弱い人間だって思うんだ。あたしは
 ずっとその弱い人間の中の弱い人間だったんだ。ずっとリストカットなんてして
 ただのリストカットで死ねるなんて思ってないし、死ねないよ。そんなの知ってる。
 きっと死ぬのが怖かったんだ。死にたいって思っていても心のどこかでは生きたい
 って思っていたんだと思うんだ。でも幸輔と出逢えて助けてもらえて…あたしは
 弱い人間の中でも強い人間になりたいってそう思えたんだ。もう辛いことから
 逃げないって決めたんだ。だからもしも幸輔に出逢ってなかったらあたしは
 きっとあのまま弱い人間の中の弱い人間。もしかしたらもっと弱い人間だったの
 かもしれない。…幸せだよ。生きてて初めて思えた感情。だって1人じゃないって
 初めて思えたから。あたしの周りには全然友達って言える人なんていないけど
 大切な親友、そして大切な人ができたから。誰よりもあたしのことを想ってくれてる
 人たち。幸せ。あたしは今胸を張って言えるよ。あ、そうだ!あれから優奈と
 田中雄一は付き合うことになったらしい。あたしは優奈に隠し事をしたくなくて
 雄一にされたことを話したんだ。すると、優奈はずっとしまってた口を開いていった。
 「そんなことがあったんだ…。でもその話を聞いてもうちは雄一君のこと好き!
 だから…応援してくれるよね?もう雄一君とは仲直りしたんだからさ♪
 応援よろしくお願いしまーすっ!♪」
 明るい優奈。…よかった。だってあたしは優奈に友達の縁切られる覚悟で話したから。
 そしてあたしがホッとした顔を見せると
 「え?どうしたん?」
 「…あのね、優奈に絶交される覚悟であたし話したの…本当にごめんね…」
 泣き虫のあたしの目からは涙が出てきた。すると優奈はムッとした顔であたしの
 おでこに優奈のおでこをコツンと付けて言った。
 「そんなんでうちと愛香友情が壊れるわけないでしょ?ばか!うちには愛香が
 必要なんだからね?あ、涙は幸輔君に止めてもらって~♪幸輔くーん!あなたの
 彼女様が泣いてますよ~!」
 「え、あ、まじ?!愛香ちゃ~ん!どうしたの~?」
 そのふざけた声にあたしは思わず笑ってしまった。すると、優奈があたしに
 こっそり言った。
 『雄一君に告白してくるね!』
 あたしはコクンとうなずいた。そして幸輔の大きい手があたしの頭を撫でた。
 そしてあたしは幸輔にさっきの話を全部した。…もちろん今から告白するって
 こともね♪すると、幸輔があたしの手を引っ張ってズンズンと歩いていく。
 「えっなに?!」
 「なにって雄一と優奈の告白現場を見に行くんだよ~♪」
 「だめだよ~!」
 「大丈夫!この前あいつがお前にキスした後、俺雄一と話したんだ。色々。
 そしたら言ってた。ずっと愛香が好きだったって。だけど、優奈と話して気に
 なってたんだとよ~。だから愛香にキスしたのは雄一なりの諦めってやつだった
 らしいぜ?だからあの2人は上手くいくから!そしたら陰から冷やかそうぜ♪」
 「じゃあ、2人は両想いってこと?」
 「そーゆーこと♪ほら、早く行くぞ♪」
 そして廊下を曲がると2人がいた。あたしと幸輔は見つからないように隠れた。
 そしてかすかに聞こえる…あたしにとっては初の人の生告白。
 『うちね、雄一君のこと好き。そばにいてほしい』
 雄一の答えは…?雄一は黙って下をうつむいてるようだった。そして
 『僕…あ、俺も好きだよ』
 キャャャア♪人生初の生告白現場でオッケーとかラッキーでしょ♪
 そしてあたしと幸輔は出ていって幸輔は雄一の肩を組んで冷やかしてるようだ。
 あたしは優奈のことを抱きしめて「おめでとー♪」と言った。優奈は嬉しさのあまり
 泣いているようだった。あたしはいつもと逆の状況にもためらわず優奈の頭を撫でた。
 いつもはあたしが撫でてもらってるのになんか変な感じ。…でも本当に良かった。
 仲良し4人で一緒に見つけた幸せ。涙も沢山あったけど結局は幸せになれた。
 人は弱いから早く幸せになりたがる。でもそんなことしちゃいけない。焦ったって
 幸せは来ないんだから。確かに幸せより不幸の数の方が多い。幸せの数は片手で
 数えられる。でも不幸の数は両手で数えても足りないってね。確かに辛いよ。
 でもその辛かった分幸せが来た時の嬉しさは本当の嬉しさだと思うんだ。だから
 逃げることも大切だって思うけど立ち向かう勇気も必要だって思うんだ。
 幸せがあるからこそ、次も頑張ろうって思える。それが幸せの意味だって思う。
 その日、あたしたち4人は屋上に行って4人の誓いを作り、屋上から4人で叫んだ。
 ―この4人は永久不滅―
 そして4人で笑った。幸せだよ、本当に。みんなありがとう。