「ねぇ。アキはこの店よく来るの?なんか、俺ちょっと場違いな感じだよね」

「そぉ?大丈夫じゃない?」

「本当?もう少しちゃんとした服着てくればよかった」

そう言って雅也は自分の着ているジャケットを親指と人差し指でツンツンと摘まんでいる

「雅也はスタイルが良いから着てるものなんて気にしなくて大丈夫、十分カッコイイよ」

雅也は訝しげに私の横顔を覗き込んだ

「…ねぇねぇ、アキって、なんでサラッとそんな事言えちゃうの?恥ずかしくなんない?」

「全然?何で?本当の事だもん。スタイルがいい人はそれだけで10倍も100倍も得なんだから」
言い切る私に、雅也は恥ずかしそうな笑顔を向ける。この顔も可愛くて頭をなでなでしたくなる

「アキに言われるとテンション上がる。なんか、ついアキの言葉に乗っかってるんだよね」

雅也のこの素直さはいったいどこからくるのだろう といつも関心する。
間もなく、店の奥からシェフが大きな白い皿を持って鉄板越しの私達に話掛けてきた
『お待たせ致しました松坂牛のヒレ肉500gmでごさいます。本日はこちらのお肉でよろしいですか?』
「わぉ」
目の前に見せられたきれいな肉に雅也は思わず声を上げた