「原田さん、今日の午後から、大学の講義があるから受けてくるといいわ。」

高校生の私に、うちの学校の先生達は私に大学の授業をうけるように勧めてくる。

うちの学校は、小・中・高・大学一貫で、私はとある大学の付属高校の三年生。

一様外部の大学を受験するつもりだけど、それなりの成績と評価を得ている私の進学先に先生達は淡い期待を抱いている。

このまま、外部ではなくこの敷地内にある大学に進学してくれることを。

ほんの少し、ほかの子たちより勉強ができて、ほんの少し、ほかの子たちより他人から良い評価を受ける。それが、読書感想文だったり体力測定だったり、そしてクラスの誰かが知らないうちに応募した某国民的コンテストだったり。もちろん、グランプリには選ばれなかったけれど。


そう、いつも私は後少しだったり、ほんの少し何かができるだけ。飛びぬけた才能なんて、私には無い。

それなのに、周りの大人は私に、私の能力以上の期待をする。できないなら、出来ないって言えばいいけれど、それが言えないのが私。


だから、今日も友達が受けてる授業を特別扱いで欠席して、一人慣れない大学の講義室に向かう。