「だいすきだよ。

いちばんすきだよ。」


「そうだ。親に怒られて泣いたり、楽しいことを考えたりした時、

このこにだけはぜんぶ話してた。

ねるまえに、ふたりっきりで話すのをいつも楽しみにしてた。

苦しいときも、あとであのこに話そう、って思うと堪えられた。

オモチャじゃなかった。友達でもなくて。

何よりも、誰よりも、

一番、好きだった。」


「もうそろそろ、戻ってくる?」


「最後までいたい。最後に、確かめたいことがあるの。

あっ、病院だ。私が生まれた日だ。」


「オギャア―」


「はじめまして。ぼくは扉の番人。

子どもたちが、とびらをあけて大人になっていく

そのお手伝いをする番人だよ。」


「やっぱり……生まれた時から、一緒にいるんじゃんか――!」