「恋人みたいだったね!」


「こい、びと――?」


「わたし、大人になるってどういうことかわかった。

愛することなんだね。愛される存在から、愛するひとになるんだね!」


「大きくなったね。ほんとうに大きくなったね。」


「うん。だから、一緒に行こう?」


「ぼくは、行けないんだ。」


「わたし大人になんか絶対なれないって思ってた。」


「でも君は強かったよ。」


「だって応援してくれた。できないことなんか、ないんだよって。」


「ぼくが今どんなにうれしいか、たぶん君にはわからない。」


「わかるよ。ちゃんとわかるよ。キミの気持ちならなんだってわかる。」


「そう言ってくれただけで充分だから。

 どうしても、だめだから。

 ――行くんだ。」


「なにがだめなのかもわかってる。

越えられるから。ふたりで、おとなになろう?

おとなになって、愛するひとになって、ほんとの恋人になろうよ。

これ、プロポーズだよ。」


「――これを言ったら、ぼくはもう、門番ではいられなくなってしまうけど。

離れたくない。

 ほんとはぼくだってずっと離れたくないっ!!」


「今度は私の番だよ。ぬいぐるみにだって何にだってなるよ。

応援する。ずっと、ず―っと、一番、好きだったよ。

だから、一緒に――」