「莉奈‥泣くな‥ほら‥ちゃんと名前で‥呼んだだ‥ろ」

「‥なんで‥何でよ!何でこんな事‥!」


親友を疑った罪は‥こんな事でしか償えないの‥!?

悔しい。
止められなかった自分に腹が立つ。

「蒼‥俺とまだ‥親友で‥」

血が止まらない令は顔が徐々に青白くなっていく。
蒼は令の血だらけの手を力強く握りしめた。

「当たり前だ!一生‥一生親友だ!!」

「‥あり‥が‥とう」


‥親友でいてくれてありがとう


令は静かに息を引き取った。


恋人の死から親友を疑い続けた令。
恋人の死を受け入れる為に親友を憎んだ、そして悲しい結末。
令はきっと、最後の【親友】という言葉に救われたに違いない。



もうどのくらい時間が過ぎたのか‥

莉奈は泣き崩れたまま令の側を離れない。

「莉奈‥ありがとうな」

蒼はそっと莉奈の頭を撫でた。

「アタシ‥何もしてない‥何も出来なかった!」

これだけ泣いてもまだ涙が出る。
声を出す事すら辛い。

「莉奈がいてくれたから、令と仲直りできたんだよ。」

「でも‥!もう令はいないじゃん!‥やだよ‥こんなの‥」

蒼の方が自分の何倍も辛い事は分かっていた。
けれども抑え切れずに辛く当たってしまう。