君がくれたモノ

「‥そんな警戒すんなよ。」

令は昨日とは違い、殺気のようなものがまるで感じられない。

「それに俺、別にあんたをどうこうしようなんて思ってないし」

やはりそうだ。令の標的は蒼なのだ。

「あんたが俺に連れ去られたら、あいつどうするんだろうな、大事なあんたが。」

蒼の事を話し出した瞬間、令は表情を変えた。
昨日の令、蒼を殺そうとした男の顔だ。

「‥なんで?何でそこまで憎むの!?二人は友達なんでしょ‥?」

莉奈には理解できなかった。
友達だった人を、殺したくなる程憎む事。

私は桜を憎んでる?

そんな言葉が頭を過ぎる。

「あんた、聞いてないんだ、俺らの事。」

令は腕を組みながらふてぶてしい態度で言った。

「蒼、言いたくなさそうだった‥友達をそんなに憎むなんて悲しいよ‥」

まるで自分に言い聞かせるように言っていた。
桜と光が一緒にいるところを見た時、莉奈は裏切られた気持ちになり、桜を憎んだ。

「友達だから憎むんだ。信じてる奴だったからこそ余計憎しみは大きいもんだ」