君がくれたモノ

どこを見渡しても自分の世界とはまるで違う‥例えるならば、市場が永遠続いているような、町はそんな感じだ。

たくさんの人が行き交う中、莉奈は一軒の露店である物を見つけた。

「かわいー‥」

小さな赤い石がいくつか付いている指輪だった。
莉奈は見た事のないその赤く光った石に見とれてしまう。

「その指輪欲しいの?」

突然後ろから男に声をかけられ、莉奈の体はビクッと固まる。
振り返りその姿を確認した莉奈は、その見覚えのある顔に驚くしかなかった。

「やっと見つけた。」

黒髪で短髪、まだ少し幼さの残る顔。


令だった。


「えっと‥令君ですよね‥?」

莉奈は引きつった笑顔でなぜか敬語になる。
蒼のいない今、もし怒らせて昨日のような事が起こっては困る、だから最善を尽くして丁寧に接する事にした。

「無理に笑うなよ。昨日と違う格好だからさ、あんた捜すの苦労した‥」


私を捜す!?


なぜ蒼ではなく自分なのか、莉奈はわからない。

「ワタシをオサガシだったのデスカ?」

莉奈は怖さのあまり敬語どころか片言でしか話せなくなっていた。

どうやってこの場を切り抜ければいいのか‥それしか考えられない。