君がくれたモノ

「あなたは蒼様が好きなの?」

茜は真っすぐに見つめ、莉奈に聞いた。
莉奈は戸惑いながらも恥ずかしくなり、あやふやな答えを茜に返した。

「好き‥なのかな‥」

それを聞いた茜は、表情を変え目に涙を浮かべている。

「私は‥私はずっと蒼様が好き!蒼様が悩んでる時もいつも隣にいてあげたいの。あなたみたいな中途半端な気持ちで‥蒼様の近くにいないでよ‥」

茜は泣いていた。

また空気が重くなる。
耐え切れなくなり、莉奈は先程茜に勧められた着物に着替え終わると、店の外で蒼を待つ事にした。

「茜さん、着物ありがとうございます‥」

莉奈は茜にどう声をかけていいのかわからず、躊躇してしまう。
少し間があいて、茜は無理に笑顔を作り莉奈の方に歩いてきた。

「莉奈さん、嫌な思いさせてごめんなさい。でも‥私は蒼様が好きなの。だから‥」


だから蒼に近付くな。


そう言われているような気がして莉奈はなぜか悔しく感じ、早く蒼に会いたかった。

外に出ると、昼間という事もあり町は人で溢れている。蒼の「すぐに戻る」と言う言葉を思い出し、少し町を見て待つ事にした。