君がくれたモノ

「莉奈さんは色が白いから、この朱色なんかがすごく似合うと思うわ。」

茜は、朱色の生地に大きな白い花が散りばめられた着物を手に取り、莉奈に見せた。

「かわいー‥!私これにします!」

一目見てそれを気に入った莉奈は、目を輝かせてその朱色の着物を手に取りそれに決めた。

そんな莉奈の姿をを見て、茜は初めて笑顔を見せた。つられて莉奈も笑顔になり、先程までの嫌な空気は次第に薄れていく。

「莉奈さんは‥どこの町の方なの?見た事のない物を着てらっしゃるけど‥」

茜は不思議そうに莉奈の制服を見た。

「あ‥私日本ってところから来たんです‥」

少し答えに困ったがそう答えた。

「ニホン?聞いた事ないわ‥。ねぇ、莉奈さんは蒼様と‥」

茜は俯いてしまい、最後まで言わなかったが莉奈は茜の聞きたい事が分かった。
恐らく蒼との関係だろう。
しかし莉奈は答えに困り、何を言えばいいのかわからない。

「蒼とは‥」

言葉が詰まる。


蒼とは何だろう‥私は蒼が好きなのかもしれない。


莉奈はこの時初めて自分の気持ちが分かった気がした。

「蒼様、すごくあなたが大切そうだったわ。あなたを見る目がすごく優しくて‥私にはあんな目して下さらないから」