君がくれたモノ

「えぇ。お店も心配ですし‥それよりも蒼様に会いたかったわ。元気に‥してたの?」

茜という女は、蒼を久しぶりに会う昔の恋人のような目で見つめている。
それに‥先程から莉奈はチラチラと茜からの視線を感じる気もしていた。

蒼はそんな事にも気付かず、ただただ久しぶりに茜に会った事が嬉しいようだ。


この人、蒼が好きなんだ‥。


莉奈は女の直感的にそう思った。

「あの頃‥茜さんには本当に迷惑をかけました。今はだいぶ落ち着きましたよ。この子にいつも元気をもらってるんです」

そう言って蒼は莉奈を茜に紹介し、莉奈は茜に挨拶した。

「は‥初めまして。莉奈です」

少し緊張しながら軽く頭を下げる莉奈。

「あら‥こんにちわ。蒼様の妹さんかなにかかと思ったわ」

悪びれる様子もなく、笑顔でそう言う茜の言葉に莉奈は顔が引きつる。


い‥妹!?どうやったら妹に見えるっての!?


心の中で莉奈は叫んだ。
「アハハ、違いますよ茜さん。莉奈は私にとって大切な人なんです。17だから‥茜さんと私の2つ下になります」


大切な人。


笑い事ではないと思いながらも、何気なくそう言った蒼の言葉が頭から離れない。
大切な人とはどういう意味なのか‥莉奈は考えていた。