-王様ゲーム-

それは、簡単に言えば運試しゲーム。
難しく言えば王様に服従するゲーム。

まあ、どちらにしても
『運を試す天国か地獄を決めるただのゲーム』であることに変わりはない。
やり方は猿でも分かるくらいに簡単だ。
複数の人数でくじ引きをし、当たりを引いた人=王様。
そのほかは番号を与えられる、いわゆる下僕というわけである。
そして王様の命令に下僕が従う。というゲームである。

また、行う年齢、人数、性別に応じて命令の内容も変わってくる。
そこで嫌がる姿を見て笑ったりするのも楽しいものである。
ここ、恭帝高校2年A組でも王様ゲームが流行っているようである_______


「王様ゲームやろーぜッ!」 声をあげたのはクラスの中心的な男子生徒である。
 
「いいねー!やろー!」 「ははッ・・・本当こういうの好きだよね~」

クラスの中には進んで参加しようとする生徒もいれば、
呆れてぐうの音も出ない生徒もいる。
しかし、興味はあるようだ。段々と教卓の前に人集りができてくる。

その中でポツリ。
窓際の一番後ろの席。
黙々と細かい文字でノートを埋めていく一人の女子生徒。
名前は 『小野寺香澄 オノデラカスミ』。
腰まである黒髪ストレートヘアに赤縁眼鏡、目を覆い隠す前髪。
人はこれを「怖い」というのだろう。

「・・・・・予習はこれでよし、っと・・・・」

ボソリと口を開く。
少し満足気な顔をして席を立つ。
王様ゲームに夢中なクラスメート達は誰も香澄に気づかない。
外を見ると、いつの間にか夕方だった。