年下の君が教えてくれたこと




生徒が全員座ったところで
長い長~い話がはじまった


あ~ねむ。


軽く眠りに入りかけたとき


「羽音、羽音」


「…何?」


「もうそろそろ
行かなくてもいいの?」


「あ~忘れてた」


「忘れてたって…(汗)

まぁがんばってね~」


こいつ、人事だと思って

まぁ実際、人事なんだけどね


そんなことを思いつつ
ステージの隅に行く


「おっ、来たか」


「はい」


「じゃあ頼むぞ、松本」


「はいはい」


これも入学式に出たくない
理由の1つなんだよな~


いや、むしろこれのせいか


「在校生代表2年
松本 羽音」


「はい」


ステージにあがると
当たり前なんだけど
たくさんの人が見えた


う…
こういうの苦手なんだよね…


「新入生の皆さん
ご入学おめでとうございます」


ありきたりなセリフを
口にしながら新入生を見ると
すぐに翔馬を見つけた


またあいつか…
つか、もう友達できてるし


話聞けよ



「在校生代表2年1組
松本 羽音」


挨拶を終え
ステージを降りようとして
ふと翔馬のほうを見ると
目があった


「…っ!?」



バッ


あ…
なんかびっくりして
目、そらしちゃった



「あ、おかえり~」


自分の場所に戻ると
実栗がヘラヘラして待っていた


「ただいま」


「…なんか元気ないね~?」


「挨拶、疲れた」


「おつかれ~」


…嘘。

ホントはさっきのことが
頭から離れない


ほんの一瞬だったけど
あった目と

逸らしてしまった後悔


「…?」



なんで後悔なんてしてるわけ?


「あ、そだ

挨拶んとき忍見つけた?」



「見つけてない」


「え?」


え…?


「なんでそんなに驚いてんの?」


「いや、てっきり
見つけたんだと思ってたから」


「何で?」


そんなこと思うようなこと
何かしたっけ?


いや、普通に
ありきたりなセリフ
言ってただけだよね?


「じゃあさっき

誰見てたの?」


「…は?」


実栗の質問の意味がわからず
思わず聞き返す


「言ってたとき
誰かのこと見てたんじゃないの?」


「何でそんなこと
思ったの?」


「だって目泳いでると思ったら
一点で止まったじゃん!!」


「…そうだっけ?」


あたし、誰かのこと見てたっけ?

確かに翔馬のことは
見つけたけど
そんなに見てなかったよね…?


「そうだよ!

変な羽音~」


いやいや、
実栗にだけは言われたくないから


「新入生、退場」


ズラズラと体育館を出て行く
真新しい制服を着た新入生たち


「あ…」


また、翔馬…

よく目にとまるやつだな~


しかし来たばかりなのに
友達作るのはやいな~


まぁ中学んときも
友達多かったしな~


「…おん、羽音!!」


ハッ


「な、何?」


「いつまでそっち見てんのよ?
あたしたちも教室戻るよ?」


そんなに見てたのか?



「あ、うん」


「…で?

今度は誰見てたの?」


少しニヤニヤしながら
そう聞いてくる実栗は
はたからみたら変態だと思う。


「うん?

翔馬だよ?」


「またあいつ~?」


またって…


「うん
あいつもう友達できてた」


「うわ、
一之瀬のくせに生意気~」


くせにって何?
むしろ翔馬っぽい気がするけど
そんなこと言ったら
まためんどくさい気がするから
やめておこう。