高校に入学して1年がたった
あたし松本 羽音(マツモト ハオン)
どこにでもいるような
ふつ~~~~~の高校生
「ちょっと~羽音、
聞いてんの?」
そう言って華奢な手で
頭をバシバシと叩いてきたのは
中山 実栗(ナカヤマ ミクリ)
中学からの友達
たぶん1番の友達
「はいはい、聞いてるよ」
実際は聞いてなかったが…
「でね~彼氏がさ~…」
また彼氏の話か
確か年下だよね?
「あたしに合わせて
ここ受験してくれたの~」
「それ前聞いた」
「あ、そうだっけ?」
「そうです」
「まぁいいじゃん!
はぁ~、まじで好きだわ~」
「はいはい」
「両思いって幸せだね!」
これ、何回聞いただろう…
実栗が今の彼氏と
付き合いだしたのが
去年のクリスマスだから
100回は超えてるだろうなぁ~
「そうですね」
正直、両思いがそんなにいいものなのかわからん…
誰かを好きになるなんて
今まで1度もなかったし
「はやく入学式始まらないかな~」
「やだ。
めんどくさいじゃん」
だって入学式って…
「そこ!
うるさいぞ!」
あ…
普通に話してたけど
今HR中でした。
「はぁ…」
ごめんね、新しい担任
「じゃあみんな
体育館に移動しろ~」
「やった~!
やっと会える~」
人の目も気にせずに
喜びの声をあげる実栗
こいつは恥じらいってやつを
知らないのか?
「ひゃっほ~い!
羽音、早く行くよ~!」
…知らないのか
「はいはい」
やだな~
行きたくないな~
体育館に着くと
すでにほとんどの生徒がきていた
「それでは入学式をはじめます」
教頭のそのセリフを合図に
たくさんの新入生が入場し
入学式がはじまった
入学式って嫌いなんだよね~
めんどくさいし
「あ、羽音!
いたよ~!」
「あ~はいはい」
いたって言われても
どれかわかんないし…
「はぁ~
やっぱ忍が1番かっこいいわ~」
どうやら忍(シノブ)というのが
実栗の愛しの彼氏らしい
「え~?
どれ?」
「あれだよ、あれ!」
そう言いおもむろに
指をさした実栗につられて
たぶん周囲の人は
指の先を見ただろう
「実栗…
もっと周りの目を
気にしたほうが
いいと思う」
「あれだよ!
わかった!?」
話を聞かない実栗に呆れ
渋々指の先に目をやる
「あ…」
「なになに!?
見つけた!?」
「や、違う」
「何よ~!
じゃあ何見つけたの?」
「翔馬だよ」
「翔馬って中学一緒だった?」
「うん」
あたしは小学校から
一緒だけどね
忍を見ようとして見つけた
一之瀬 翔馬(イチノセ ショウマ)
まさか同じ高校に
きてるなんてね~
ま、あたしには
関係ないけど
