部屋に帰ると、それまで気がつかなかった血の臭いに気がついた。



日下部が流した血のせいではなく、もしかしたら、この部屋には常に血の臭いが漂っているのかもしれない。



常に目に見えないどす黒い何かが渦巻いているのかもしれない。



でも、私達はそれを糧に生きていく。



これからも、ずっと。



陽の当たる場所は似合わない。



だからこの乾いたコンクリートの部屋が一番居心地が良く、ゆっくりと眠る事の出来る唯一の場所なのだろう。