雨降って、血固まる。

ふと、看護師の女が通りかかった。



女はギンを見つめた。



ギンも女を一瞬だけ見た。



ギンが女に見られることは珍しくない。



だが、この女には私たちがこれからやろうとしている事を見透かされたような気がした。



それほど透明で強い目をした女だった。



もちろん、そんなはずはない。



女は私たちにニッコリと笑いかけた。



「お大事に」



そう言って何事も無かったように通り過ぎた。