鉄の味がする。



裂けた薄皮の間から流れ出る鮮血は、吐き出しても吐き出しても口内に血だまりを作り続けている。



「助けて…ください…」



足元に纏わりついて生を懇願してくる男の腹からは、おびただしい量の血が湧き出していた。



女が吐き出した血とは違い、黒ずんだ赤色をしている。



まるで、この男の生涯を表しているかのような醜い色…