すると棚橋さんは、ゆっくりとこれまでの経緯を話してくれた。
今週の火曜日、遼さんから電話があったそうだ。
その内容は、今からでもウエディングドレスを変更できるかというものだったらしい。
出来ないことはないけれど急にどうしたのかと尋ねたら、どうしても着せたやりたいドレスがあるんだ、梓とした約束は必ず果たしたいんだと……。
「でも今からそれを探しに行くって言うんですよ? もうびっくりして」
「…………」
「猶予は金曜日。それまでに絶対に見つけて下さい。そう言って電話を切ったんです」
その時のことを思い出しているのか、棚橋さんが目を閉じフッと微笑んだ。
「だから私を実家に帰したんだ。そして忙しい合間に探してくれて……」
「五ヶ月前ショールームに飾られていたウエディングドレスって聞いて、二度ビックリですよ。それでも三日で探し当てて、金曜の朝一で持ってきてくれました」
「信じられない……」
ウエディングドレスを決めた日、心の中では今目の前に飾られているものを着たい……そう思ったのは事実。でもそれは叶わない夢だと思って、一言だって言ったことなかったのに……。
遼さんは、ずっと心の何処かで気にしてくれていたんだと思うと、その気持ちが嬉しくてまた涙が溢れた。
「もう、いつまで泣いてるんですか。花嫁さんが泣き腫らした目のまま、来賓の方々の前に出るわけにはいかないでしょ?」
ホットタオルを渡されて目を押さえると、少しだけ気持ちが落ち着いた。
でも、今すぐ遼さんに会いたくて仕方がない。



