そしてブライズルームに到着するまでの間、打ち合わせからお世話になった人たちに会うたびに、棚橋さんと同じ笑みをと「幸せ者」の言葉を送られた。
「何か皆さん、おかしくないですか?」
「そうですか?」
いやいや、そうですよ。
棚橋さんの言葉を怪訝に感じながら歩いていると、ブライズルームが見えてきた。
棚橋さんがドアを開け、私の背中に手を当てる。
「さあ、中へどうぞ。素敵なお姫様になりましょうね」
お姫様? そうか、新婦はその日一日お姫様みたいなもんだからね。
「はい、お願いします」
そう言って笑顔を返し中へ入ると、ありえない光景に足が止まり、思わず息を呑んでしまった。
「う……そ……」
ブライズルームの大きな窓から差し込む光に照らされて、キラキラと輝いているウエディングドレス。
それは、お母さんや百合さんと選んだものではなく、遼さんと初めてデートした時に目を奪われた、あのウエディングドレスが用意されていた。
「なんで……」
知らないうちに、涙がポロポロ溢れ出す。
でもこれで、遼さんが朝からそわそわしていたこと、ここでの皆さんの態度の意味を理解した。
「遼さん、いつの間にこれを……」
静かに近くまで来ていた棚橋さんに、ウエディングドレスから目を離さず問いかける。



