結婚式当日は天気予報通り、雲ひとつない晴天。まさに結婚式日和だ。
今私たちは、式場に向かうタクシーの中。
今日花嫁に、遼さんの妻になる実感がまだ湧かない私の手を、遼さんがぎゅっと握りしめてくれている。
「梓、緊張してる? 俺がいるから大丈夫だよ。それにしても楽しみだな~」
今日の遼さんは、朝からテンションが可怪しい。
まぁ朝から機嫌がいいのはいつものことだけれど、それに気味悪さがプラスされてしまっていた。
何かを思いつめたように考えては、いきなりムフフと笑い出す。
それを何回も繰り返し見てるこっちは、何とも奇妙な気分だった。
「遼さん、何か変なものでも食べた? 熱でもある?」
繋がれていない方の手をおでこに当ててみるが、どうやら熱はなさそうだ。
顔を覗き込み何かを探ろうと試みてみたのだけれど、すぐに顔を逸らしてしまった。怪しい……。
「熱もなければ変でもないっ! 至って普通。ひどいなぁ、梓は」
なんて言ってるけれど、やっぱりその動きは挙動不審。
私の顔を見てはニソニソ笑う遼さん躱しながら結婚式場に到着すると、ウエディングプランナーの棚橋さんが待っていてくれた。
「お待ちしておりました」
挨拶を済ませると、「遼さん、また後でね」と手を振り、棚橋さんとブライズルームへと向かった。
「本当に素敵な旦那様ですね。梓さんが羨ましいです」
確かに遼さんは素敵だけど……。
今までの流れにそれを感じさせる場面がなく、いきなりそう言われ首を傾げると、棚橋さんにまでウフフと笑われてしまった。



