それからの私は、まるで着せ替え人形にでもなったかのように次から次へと着せ替えられ、数十着は着たであろうウエディングドレスで部屋の中はいっぱいだった。
少し疲れてスツールに座っていると、スッキリした顔で遼さんがやってきた。
「さっきは、ごめん」
頭を掻きながら、私の横にしゃがみ込んだ。
「もう大丈夫?」
「ああ」
「良かった」
「なぁ、ちょっと立って見せてよ」
私が着ているウエディングドレスの裾をふわっと持ち上げると、もう片方の手で私の手を掴んだ。
まるでお姫様にでもなった気分で立ち上がり、遼さんの周りをクルッと一周してみせる。
「どう?」
「う~ん……。いいんじゃないっ」
「その妙な間は何?」
「いやいや、あまりの美しさに、何て言ったらいいか分からなくなっただけ」
「ほんとに?」
「ほんとだよっ。疑り深いなぁ」
そう言いながら、他のウエディングドレスを物色し始める。
何となく納得はいかないが、いつまでも気にしたってしょうがないと諦め、遼さんに近づいた。



