遼さんと初めてしたデート。
あの時はまだ今のような関係じゃなかったけれど、私の中には遼さんへの思いがハッキリと芽生えていた。
カフェを出る時にされた遼さんからのキスに翻弄されながらも、気分が上がっていたからか、ふとウエディングドレスショップのショーウィンドウが目に入った。
自分好みのドレスに目を奪われていると、「結婚しないんじゃなかったの?」と遼さんに挑発された。
そのせいなのか、それともドレスが似合いそう、鎖骨をなぞられたからか、思わず口から溢れてしまった言葉……
「ウエディングドレス、着させてくれる?」
その言葉を聞いて遼さんは、首筋にキスを落とし、
「喜んで」
と、甘い囁きを耳元にもたらしてくれたんだ。
あれから三ヶ月───
結婚が決まってから、何度かあのドレスが頭を過ぎった。
しかし、遼さんのお母さんたちが私たちの結婚に大盛り上がりで……。
水面下でどんどんと話を進めていってしまい、今更あそこのウエディングドレスがいいとは言い難くなってしまった。
それに……
「さすがに、もうないよね」
自照気味に笑い、もう一度ウエディングドレスに目を向けると吐息をもらす。
「あのウエディングドレスが、どうかした?」
「わあっ!?」
フッと息が首筋にかかり耳元で甘く囁く声に、大きな声を上げ振り向くと、笑顔が爽やかな遼さんが立っていた。



