ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~


結局、遼さんの言う通りすぐに一緒に暮らすことになり、今に至っている。
まだ会社に通っているから全部が全部じゃないけれど、主婦らしいこともしている。
朝食は必ず私が作り、仕事から帰ると洗濯をする。
結婚前の予行練習と言ったところか。

椅子に腰掛けブライダルショップの庭を眺めながら、そんなことを考えていると、大きな声に呼ばれ我に返った。

「梓さ~んっ!! そんなとこでボーっとしちゃって、どうしちゃったのぉ~」

しまった……。
遼さんのお母さんと百合さんが一緒だったんだ。
三ヶ月の間にあった様々なことを思い出してしまって、自分が今何をしに来ているのか、すっかり忘れてしまっていた。

「すみませんでした」

慌てて二人に近寄ると、もう何着かのウエディングドレスが用意してあった。

「梓さん、色が白いしスタイルもいいから、どんなデザインでも似合うと思うんだけど……」

百合さんがそう言えば、

「あまり露出が多いのは、どうかと思うけど」

と、お母さんが口を挟む。
あははっ……。
この感じだと、決まるまでに時間が掛かりそうだ。
あーでもないこーでもないと話している二人を見て笑いながら、視線を動かす。
その先には、一着のウエディングドレスが飾ってあった。

あの時見た、ウエディングドレスに似てる───