リフォームが終わると、遼さんがビックリするようなことを口走る。
「梓。今度の週末から、一緒に住まない?」
「週末からっ!?」
いきなり何を言い出すのかと、口をあんぐり開けて呆然としてしまう。
一緒に暮らすのは、5月の結婚式前くらいからでいいと思っていただけに、何て返事をしていいか迷ってしまった。
「嫌なの?」
遼さんが、悲しそうな顔で聞いてくる。
嫌なわけがあるはずない。私だって、少しでも多く遼さんと一緒にいたいと思っている。
でもまだ心の準備が出来てないと言うか、毎日いっしょにいたら私の身が持たないと言うか……。
「そっかぁ、梓は一緒に住みたくないんだ……」
さっきにも増して悲しい顔をするもんだから、本音がポロッと出てしまう。
「私だって、一緒に暮らしたいけど……」
と、しおらしく言った途端、遼さんが急にニヤッと笑った。
「じゃあオッケーと言うことでいいね?」
今までの悲しそうな顔は、どこへいったの? というくらいの、意地悪な顔を見せる遼さん。
何かちょっと嵌められた感じがするんだけど……。
遼さんの顔を見て呆れたように溜め息をつくと、彼がそばに寄ってきて肩を抱いた。
「大丈夫。毎晩襲ったりしないから」
心の中、全部見透かされてたんだっ!!
驚くやら恥ずかしいやら、言葉も出ない私を見てニッコリ微笑むと、ふわっと全身を抱きしめた。
「愛してる。これからもいっぱい愛しあおうね」
耳元で囁かれたその言葉に思考は溶けていき、重ねられた柔らかい唇にウットリと目を閉じた。



